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発酵ノートNo. 043マーケット

米国・EUの甘味料規制動向:FDA、EFSA、Codex の最新評価

米国FDA、欧州EFSA、国際規格Codex Alimentariusによる甘味料規制を整理し、米麹甘味料の輸出時の位置づけを解説します。

Aspergillus oryzaeKoji SweetenerSaccharification 55–60°CResistant Protein
河原 あい||7

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米国:FDA による規制

米国食品医薬品局(FDA)は、食品成分を以下のカテゴリで規制しています:

① 食品添加物(Food Additive)

新規物質は、FDAの審査と承認が必要。安全性データの提出、リスク評価、規制設定を経て使用可能になります。

② GRAS(Generally Recognized As Safe)

専門家コンセンサスにより安全と認められる成分。新規承認手続きなしで使用可能。

  • GRAS 通知制度(GRAS Notification Program):事業者が FDA に通知し、FDAが「No questions」を返せば実質的に承認
  • GRAS 自己宣言:専門家パネルが安全と判定すれば、FDAへの通知なしでも使用可能(リスクは事業者持ち)

③ NSF(Nutritionally Significant Foods)等

主な甘味料のFDAでの扱い

甘味料FDA カテゴリ用途
アスパルテーム食品添加物として承認飲料・菓子・卓上甘味料
スクラロース食品添加物として承認飲料・焼き菓子・乳製品
アセスルファムカリウム食品添加物として承認飲料・菓子
サッカリン食品添加物として承認飲料
ステビオール配糖体(高純度)GRAS飲料・乳製品
羅漢果抽出物GRAS飲料・焼き菓子
エリスリトールGRAS一般食品
米麹甘味料一般食品食品原料として使用可能

米国市場での米麹甘味料

米麹甘味料は米国で一般食品として扱われ、FDA の食品添加物指定は不要です。

表示要件

  • 原材料表示:Rice kojiKoji rice malt sweetenerFermented rice sweetener
  • 栄養成分表示:通常の食品としての表示
  • アレルゲン表示:8 major allergens(米国規制)に準拠

訴求可能な表現

  • Natural (ガイドラインあり、ただし米国は厳密定義なし)
  • Plant-based
  • Gluten-free(米のみ原料)
  • Vegan

訴求に注意が必要な表現

  • Healthy:FDA の定義に従う必要
  • Functional:機能性訴求は別途規制
  • Sugar-free:糖質を含むので使用不可

欧州:EFSA とEU 規則

欧州連合(EU)における甘味料規制は、**EFSA(European Food Safety Authority)**が科学的評価を行い、欧州委員会が法的に承認する構造です。

EU の食品添加物規制

  • Regulation (EC) No 1333/2008:食品添加物全般
  • E番号システム:すべての食品添加物に固有の番号
  • EU認定甘味料リスト:定期的に更新

E番号で管理される主要甘味料

E番号物質名
E950アセスルファムカリウム
E951アスパルテーム
E952シクラミン酸
E954サッカリン
E955スクラロース
E957タウマチン
E959ネオヘスペリジンDC
E960ステビオール配糖体
E961ネオテーム
E962アスパルテーム・アセスルファム塩
E964ポリグリシトールシロップ
E965マルチトール
E966ラクチトール
E967キシリトール
E968エリスリトール

EFSA の最新評価

EFSAは定期的に既存甘味料の再評価を行っています:

  • 2013年:アスパルテーム再評価(ADI 維持)
  • 2018年:ステビオール配糖体の使用範囲拡大
  • 2023年:D-アロース(プシコース)の安全性評価
  • 継続的評価中:エリスリトール(2023年の心血管研究を受けて)

EU 市場での米麹甘味料

米麹甘味料は EU でも**一般食品(Foodstuff)**として扱われます。EU の食品添加物指定は不要。

Novel Food 規制(Regulation (EU) 2015/2283)

1997年5月15日以前にEUで「相当程度の消費実績がなかった」食品はNovel Food として扱われ、市場流通には承認が必要です。

  • 米麹甘味料・甘酒:日本の伝統食品として長期使用実績があり、Novel Food 該当の可能性は低い
  • ただし、製品によっては個別評価が推奨されます

オーガニック認証

  • EU Organic Regulation (EU) 2018/848:EUオーガニック認証取得が市場開拓のキー
  • ロゴ表示:EU Organic Logo
  • 第三者認証機関による定期監査

表示要件

  • EU Regulation (EU) No 1169/2011 に基づく栄養成分表示
  • 各国言語での表示が必要

国際規格:Codex Alimentarius

Codex Alimentarius(FAO/WHO 食品規格)は、国際的な食品規格と基準を策定する国際機関です。

甘味料関連の主要規格

  • General Standard for Food Additives (GSFA):食品添加物の一般規格
  • Use Levels:各甘味料の使用基準(食品カテゴリ別)
  • JECFA Evaluation:安全性評価の根拠

Codex は法的拘束力はありませんが、WTO(世界貿易機関)の TBT 協定(貿易の技術的障害に関する協定)で参照され、各国規制の事実上の基準となっています。

2023年のアスパルテーム評価:注目の動き

2023年7月、**IARC(国際がん研究機関)**と JECFAが共同でアスパルテームの再評価結果を発表しました。

IARC の結論

  • アスパルテームを **Group 2B(ヒトに対しておそらく発がん性がある)**に分類
  • Group 2B は「限定的なヒト証拠 + 限定的な動物証拠」のレベル

JECFA の結論

  • 現行ADI(0-40 mg/kg体重/日)を維持
  • 通常の食事による摂取量では安全

業界への影響

  • 「アスパルテームは危険か?」という消費者の不安が拡大
  • 食品メーカーで代替甘味料への移行を検討する動き
  • ステビア、米麹甘味料等の天然由来甘味料の関心が高まる

これは米麹甘味料のような自然由来甘味料にとって追い風となる動きです。

グローバル展開時の実務的整理

米麹甘味料を世界市場へ展開する際の規制対応のポイント:

地域規制カテゴリ主な要件注意点
日本一般食品食品表示基準クリーンラベル可
米国一般食品FDA 一般食品基準アレルゲン表示
EU一般食品(Novel Food 例外可能性)EU 食品表示規則オーガニック認証推奨
中国食品(事前登録の場合あり)個別輸入規制ローカル代理店推奨
韓国食品MFDS 規制健康食品分類は別
アジア他一般食品国別ローカル規制

米麹甘味料の規制上の競争優位

米麹甘味料が高甘味度甘味料・糖アルコールに対して持つ規制上の優位:

  1. 食品添加物指定不要:開発・流通の手続きが簡素
  2. クリーンラベル可能:消費者の理解が直感的
  3. アレルゲン少:米のみが原料
  4. ヴィーガン・グルテンフリー対応:複数の認証が取りやすい
  5. JECFA ADI 設定不要:使用量の制約なし
  6. 長期使用実績:日本の1500年の伝統で安全性確立

これらが、グローバル市場での米麹甘味料の成長を支える規制的基盤となっています。

まとめ

米国 FDA は GRAS 制度、欧州 EFSA は E番号制度で甘味料を厳密に規制しています。2023年のアスパルテーム評価をきっかけに、自然由来甘味料への注目が高まっており、米麹甘味料は両地域とも一般食品として展開可能というクリーンラベル上の優位を持ちます。グローバル展開の規制環境は、米麹甘味料にとって追い風と言えます。

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Editor-in-Chief / 編集長

編集長 / 株式会社オリゼ CTO

株式会社オリゼ CTO。博士課程では発酵食品中の微生物の研究に従事し、博士(環境共生学)を取得。管理栄養士としての栄養学の知見と、微生物学・発酵科学の研究背景を併せ持つ。オリゼでは米麹・発酵関連の研究開発全般を担当。

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