河原 あい
Ai Kawahara
編集長 / 株式会社オリゼ CTO
資格・学位
- 博士(環境共生学)
- 管理栄養士
- 株式会社オリゼ CTO
株式会社オリゼ CTO。博士課程では発酵食品中の微生物の研究に従事し、博士(環境共生学)を取得。管理栄養士としての栄養学の知見と、微生物学・発酵科学の研究背景を併せ持つ。オリゼでは米麹・発酵関連の研究開発全般を担当。
編集長が執筆した記事
- No.01
製麹に必要な道具と麹室(こうじむろ)の構造
伝統的な製麹には、麹室(こうじむろ)・麹蓋・麹箱・床(とこ)・温度計・加湿装置が用いられます。これらはすべて『温度28〜35℃、湿度80〜95%』という麹菌の最適環境を作るための物理装置で、現代の自動製麹機もこの原理を機械化したものです。家庭の甘酒作りでは、ヨーグルトメーカー・炊飯器の保温機能・保温ジャーが、麹室の代替として機能します。
- No.02
黄麹・白麹・黒麹・紅麹の違い:種類別の用途と特性
麹菌は大きく黄麹・白麹・黒麹・紅麹の4系統に分かれます。黄麹(Aspergillus oryzae)は清酒・味噌・醤油・甘酒・米麹甘味料の標準。白麹と黒麹はクエン酸を多く生成し焼酎・泡盛に。紅麹(Monascus)は別属の微生物で、中国系発酵食品や色素として使われますが、2024年の健康被害報告を受けて日本での安全評価が継続中です。
- No.03
米麹の保存方法:生麹・乾燥麹の管理・賞味期限・冷凍可否
米麹は生麹と乾燥麹で保存性が大きく異なります。生麹は要冷蔵で1〜2週間、冷凍で1〜2ヶ月。乾燥麹は常温で3〜6ヶ月、冷蔵で約1年保存できます。開封後は湿気と酸化を避けて密閉、酵素活性を保つには冷蔵が推奨です。冷凍は活性をほぼ維持しつつ長期保存できる方法で、家庭での甘酒作りにも便利です。
- No.04
製麹の『手入れ』作業:床もみ・盛り・仲仕事・仕舞仕事の意味
製麹中の『手入れ』は、麹菌の繁殖熱で米の品温が上がりすぎないよう撹拌・分散する重要な作業です。標準的な48時間製麹では、床もみ(10時間前後)・盛り(24時間前後)・仲仕事(32時間前後)・仕舞仕事(40時間前後)の4段階が行われ、各段階で米の置き方・厚さを変えて温度と酸素を最適化します。これが日本の製麹技術の精密さの核心です。
- No.05
製麹の三大方式:蓋麹・箱麹・床麹の違いと使い分け
製麹(せいきく)には大きく分けて蓋麹・箱麹・床麹の3方式があり、容器のサイズと品温管理の精密さでグラデーションが生まれます。大吟醸など最高品質の清酒には蓋麹、中規模の酒造・味噌には箱麹、大量生産には床麹(または自動製麹機)が使い分けられます。家庭の甘酒・米麹甘味料製造でも、温度管理の精度がほぼこの分類で説明できます。
- No.06
種麹(もやし)の基礎:株の種類・種麹屋の役割・選び方
種麹(たねこうじ/もやし)は、麹菌の胞子だけを純粋培養した発酵スターターで、これを蒸米に振りかけることで製麹が始まります。室町時代の京都で『種麹屋(もやし屋)』という独立業として確立し、これは世界の発酵史で『微生物の純粋培養を産業化した最古級の事例』として知られます。種類は黄麹・白麹・黒麹・紅麹の4系統に大別され、用途別に株が育種・継承されてきました。
- No.07
米麹発酵物とメタボリックシンドローム:血糖・脂質・腸内環境の交差点
メタボリックシンドロームは内臓脂肪型肥満を基盤に、血糖・脂質・血圧の異常が重なる代謝症候群です。米麹発酵物は単独の治療効果は持たないものの、レジスタントプロテイン・難消化性オリゴ糖を介して、脂質代謝改善・血糖反応緩和・腸内環境改善という3経路で代謝健康に寄与する可能性が日本の研究で示唆されています。エビデンスは『中程度』、糖尿病・脂質異常症の治療代替にはなりません。
- No.08
米麹発酵物と食後血糖値:日本の研究蓄積から見えるエビデンス
米麹発酵物(甘酒・米麹甘味料)が食後血糖値に与える影響について、日本の研究グループから複数のヒト試験・動物試験が報告されています。糖質を含むため血糖値は上昇するものの、レジスタントプロテイン・難消化性糖質・ペプチドの存在により、純粋なグルコースや砂糖と比べて血糖反応曲線が緩やかになる傾向が示唆されています。糖尿病治療の代替ではなく、健康な人の予防的甘味料選択の一つとして位置付けられます。
- No.09
米麹と腸内環境のエビデンス:プレバイオティクスからポストバイオティクスまで
米麹発酵物には、イソマルトオリゴ糖などのオリゴ糖類、米由来のレジスタントプロテインや難消化性糖質画分が含まれており、これらが大腸まで届いて腸内細菌の発酵基質となります。日本の研究グループからは、ビフィズス菌・乳酸菌の増加、酪酸を含む短鎖脂肪酸(SCFA)の生成促進、便通改善等の報告があり、機能性表示食品としての届出例も増えつつあります。ただし長期介入試験は不足しており、エビデンスの厚みは中程度です。
- No.10
市販の甘酒を見極める:選び方の5つのポイント
市販甘酒を選ぶ際は、原材料表示で「米・米麹」のみのものを選ぶ、米麹の比率が高いものを選ぶ、生(非加熱)タイプを選ぶ、産地・蔵元が明確なものを選ぶ、価格と品質のバランスを見るの5つがポイントです。「砂糖添加」「酒粕」「アルコール含有」表示の意味を理解することで、目的に合った甘酒が選べます。
- No.11
Aspergillus oryzae のゲノム研究:2005年 Nature 論文を起点とした20年
2005年、日本の研究グループは麹菌 Aspergillus oryzae の全ゲノム解析結果を Nature 誌に発表しました(約12,000遺伝子、近縁有害種より30%多い)。これにより麹菌の食品安全性と多機能性が分子レベルで証明され、以降20年で酵素遺伝子解析・代謝経路解明・産業応用が大きく前進。米麹甘味料の科学的根拠もこのゲノム研究の延長線上にあります。
- No.12
子どもの健康と砂糖代替甘味料の安全性:公的機関の指針
WHO 2023年ガイドラインは『非糖質甘味料の体重管理目的での長期使用を子どもにも推奨しない』と踏み込みました。米国小児科学会(AAP)も非糖質甘味料の小児使用について慎重な姿勢を示しています。一方、砂糖摂取自体の制限はWHO 2015年ガイドラインで明確に推奨されており、米麹甘味料を含む自然由来甘味料が『砂糖を減らしつつ自然な甘さを保つ』選択肢として注目されています。
- No.13
機能性甘味料と血糖コントロール:エビデンスを整理する
食後血糖値の上昇に対する甘味料の影響は、糖アルコール・希少糖・低GI糖質・発酵糖類でそれぞれ異なります。エリスリトール・アロースなど糖アルコール/希少糖はほぼ血糖を上げず、米麹甘味料のような発酵糖類は糖質を含むが従来の砂糖より緩やかな血糖反応を示す傾向が報告されています。糖尿病治療の代替ではなく、健康な人のゆるやかな糖質コントロール手段としての位置づけが現実的です。
- No.14
GI値(グリセミック・インデックス)の科学と低GI甘味料の選び方
GI値(グリセミック・インデックス)は、1981年に Am J Clin Nutr 誌で提唱された、食品の食後血糖反応を数値化した指標です。FAO/WHO は1998年にGI値を健康的な食事選択の補助指標と位置付けました。砂糖はGI=65、白米=88に対し、米麹甘味料は混合糖組成とレジスタントプロテインの存在により砂糖より低いGI値が期待されています。
- No.15
日本の食品表示制度と甘味料:消費者庁の規制から読み解く
日本では甘味料の表示・規制は消費者庁の食品表示基準と、食品安全委員会のリスク評価に基づいて行われます。高甘味度甘味料は食品添加物として指定添加物・既存添加物に分類され、ADI(一日許容摂取量)が設定されます。一方、米麹甘味料のような発酵由来糖類は食品添加物ではなく一般食品として扱われ、原材料表示で『米、米麹』と記載できます。
- No.16
レジスタントプロテイン研究の現在:日本の研究グループによる発見
レジスタントプロテインは消化酵素で分解されにくい米由来のタンパク質画分で、日本の研究者が中心となって機能性を解明してきました。脂質代謝改善・腸内環境への作用・血糖値上昇緩和などが査読論文で報告されており、近年は米麹発酵食品における役割も研究されています。「第三の食物繊維」とも呼ばれ、米麹甘味料の機能性訴求の科学的根拠となっています。
- No.17
麹菌酵素による糖化メカニズム:日本醸造学会の研究蓄積から
麹菌 Aspergillus oryzae は、α-アミラーゼ・グルコアミラーゼ・プロテアーゼなど多数の酵素を分泌し、米デンプンを段階的に糖化します。2005年の研究 による全ゲノム解析(Nature 誌)で、麹菌は近縁種より大幅に多い遺伝子数(約12,000個)を持ち、特に酵素関連遺伝子が豊富であることが判明しました。これが米麹甘味料の科学的基盤です。
- No.18
砂糖代替甘味料の分類と科学的特徴:CodexとJECFAに基づく整理
FAO/WHO の食品規格(Codex Alimentarius)と国際食品添加物専門家委員会(JECFA)の評価枠組みに沿うと、砂糖代替甘味料は大きく(1)栄養性甘味料、(2)高甘味度甘味料、(3)糖アルコール、(4)発酵由来糖類の4区分に整理できます。米麹甘味料は最後の発酵由来糖類に属し、化学合成を伴わない自然な甘味と機能性成分の共存が特徴です。
- No.19
米国・EUの甘味料規制動向:FDA、EFSA、Codex の最新評価
米国ではFDAがGRAS(Generally Recognized As Safe)認定または食品添加物承認、EUではEFSAがE番号で甘味料を管理しています。2023年には IARC/JECFA がアスパルテームを Group 2B(おそらく発がん性)と分類しつつADIを維持する評価を発表。米麹甘味料は両地域とも一般食品として扱われ、クリーンラベル設計に有利です。
- No.20
WHOの砂糖摂取ガイドラインと代替甘味料の役割
WHO は2015年に「成人および小児における遊離糖類の摂取量を総エネルギーの10%未満、できれば5%未満に減らす」というガイドラインを発表しました。日本では成人の平均的な遊離糖類摂取量がこの基準を上回るとされ、砂糖の段階的削減が公衆衛生課題となっています。米麹甘味料を含む発酵由来甘味料は、この削減を「無理なく続けられる形」で支える選択肢として注目されています。
- No.21
甘酒の世界展開:日本発「natural energy drink」のグローバル市場
甘酒は2010年代後半から、米国・欧州・アジアで「Japanese natural energy drink」「Probiotic-rich rice drink」として注目されるようになりました。ヴィーガン・グルテンフリー・ノンアルコールという3条件を満たす数少ない伝統発酵飲料として、ヘルスコンシャス市場で確実にシェアを伸ばしています。米麹甘味料へと進化することで、B2B(食品原料)と D2C(小売)の両軸でグローバル展開が加速しています。
- No.22
米麹甘味料とは?砂糖代替としての可能性を科学する
米麹甘味料は、蒸米にニホンコウジカビ(Aspergillus oryzae)を繁殖させ、その酵素群でデンプンを糖化して得られる、添加物・人工甘味料を一切使わない発酵由来の自然甘味料です。砂糖(ショ糖)と比べてGI値が低く、レジスタントプロテインなどの機能成分を含み、米由来・植物性・グルテンフリーで、ビーガン・ハラル・ユダヤ教の食事規範にも適合可能なグローバルフレンドリーな甘味料です。
- No.23
甘酒の美容効果:肌・髪・代謝への科学的アプローチ
甘酒の美容効果は、コウジ酸(メラニン抑制・美白)、必須アミノ酸(肌・髪の構成成分)、ビタミンB群(皮膚代謝)、グルコシルセラミド(皮膚バリア)、腸内環境改善(肌荒れ予防)の5つの経路から生まれます。「飲む点滴」と並んで「飲む美容液」とも呼ばれ、米麹発酵糖分の機能性成分は化粧品原料としても利用されています。
- No.24
甘酒は砂糖代替になるか?低GI・自然甘味の科学
米麹甘酒は砂糖の約30〜50%の甘さで、GI値は砂糖(GI65)より低い傾向があります。レジスタントプロテイン・オリゴ糖を含むため、血糖値上昇が穏やかで腸内環境にも作用。ただし糖質自体は含むため、糖尿病の方は要相談です。米麹甘味料はこの特性を凝縮した砂糖代替で、ベーカリー・飲料・調味料の現場で採用が広がっています。
- No.25
家庭で作る米麹甘酒のレシピと注意点:失敗しない3つの温度管理
家庭で米麹甘酒を作るには、米麹・米(または冷ご飯)・水を55〜60°Cで6〜10時間保温するのが基本です。ヨーグルトメーカー、保温ジャー、炊飯器の保温機能のいずれかで作れます。最大の失敗ポイントは温度管理で、65°C以上では酵素失活、50°C以下では雑菌繁殖のリスクがあります。
- No.26
甘酒の歴史:飛鳥時代から現代まで、1500年の系譜
甘酒は古墳時代の「天甜酒(あまのたむざけ)」を起源とし、奈良時代には朝廷の神饌、平安期には貴族の薬用飲料、江戸期には庶民の夏バテ予防飲料、現代では機能性飲料として再評価されてきました。米麹を使う糖化技術は1500年以上にわたって途切れず継承され、現代の米麹甘味料の直接の前身となっています。
- No.27
甘酒の栄養成分とその効果:ブドウ糖・アミノ酸・ビタミンの科学
米麹甘酒には、即効エネルギーのブドウ糖、必須アミノ酸9種すべて、ビタミンB群(B1・B2・B6・葉酸・パントテン酸)、腸内環境を整えるオリゴ糖が含まれます。これらは点滴液の組成に似ているため「飲む点滴」と呼ばれ、朝食代わり・運動後・夏バテ予防など、目的別に活用できる発酵栄養飲料として注目されています。
- No.28
米麹甘酒と酒粕甘酒の違い:成分・効果・選び方を徹底比較
米麹甘酒は米・米麹のみで作るノンアルコールの「飲む点滴」、酒粕甘酒は清酒の絞りかすを使う「冬の温かい飲み物」で、成分も用途も別物です。健康志向・腸活・子どもや車運転前は米麹甘酒、リラックス・冬の体温保持・大人向けには酒粕甘酒という使い分けが基本です。
- No.29
甘酒とは?種類・成分・歴史を専門家が解説
甘酒は米と米麹で作る米麹甘酒と、清酒の絞りかすで作る酒粕甘酒の2系統に大別されます。米麹甘酒はアルコールゼロ・自然な甘さ・豊富なアミノ酸とビタミンB群が特徴で、奈良時代から「夏バテ防止の飲料」として親しまれてきました。現代では「飲む点滴」とも呼ばれ、米麹甘味料の原型としても再評価されています。
- No.30
発酵の未来:合成生物学・代替タンパク・サステナビリティの最前線
21世紀の発酵は、合成生物学を活用した「精密発酵」(牛乳・卵白・コラーゲン等を微生物で量産)、植物・微生物発酵による代替タンパク(マイコプロテイン、テンペ系等)、低エネルギー・低廃棄なサステナブル食品システムの3方向に大きく進化しています。日本の麹文化は伝統と現代技術の橋渡しとして、特に砂糖代替・機能性甘味料の文脈で世界市場に進出しています。
- No.31
米麹の未来:レジスタントプロテインとグローバル市場
米麹研究の最先端は、レジスタントプロテイン(消化されにくい米由来タンパク質)の機能解明と、それを保持しながら糖化した「機能性甘味料」の量産化です。世界の砂糖代替市場は2030年に向けて急成長が予測され、米麹甘味料はクリーンラベル・ヴィーガン・機能性の三拍子で独自ポジションを確立しつつあります。日本発の発酵テックがグローバル展開する歴史的瞬間です。
- No.32
本物の発酵食品を見分ける7つのポイント
市販品には「発酵」と書かれていても実際の発酵プロセスを経ていない製品が存在します。原材料表示、菌種の記載、無加熱・非加熱表示、製造期間、地域・銘柄、有機酸の含有、価格水準の7点をチェックすることで、本物の発酵食品を見分けられます。米麹甘味料を選ぶ際も、添加物の有無・発酵由来糖度の表示などが重要な判断材料になります。
- No.33
米麹の文化史:種麹屋の誕生から現代企業まで
米麹の文化史は、奈良時代の朝廷醸造、室町期の種麹屋誕生(世界初の純粋培養産業)、江戸期の地域ブランド確立、明治の科学化、現代の機能性食品研究へと連続しています。種麹屋という独立業の存在が、麹文化を1500年以上にわたって安定供給可能にした最大の要因で、現代のオリゼなど発酵テック企業もこの系譜上にあります。
- No.34
米麹の選び方:種類・産地・品質を見極めるポイント
米麹を選ぶ際は、生麹か乾燥麹か、米の品種(白米・玄米・もち米)、原料米の産地、製造所の伝統と規模、価格と用途のバランスの5点をチェックします。家庭での甘酒作りなら国産米の乾燥麹、本格的な発酵食品作りなら老舗蔵元の生麹、業務用には大手メーカーの安定供給品など、用途で選び分けます。
- No.35
発酵と保存性:先人の知恵から現代食品工学まで
発酵食品が腐りにくいのは、(1)pHの低下(乳酸・酢酸の生成)、(2)アルコールの抗菌作用、(3)塩分による浸透圧、(4)善玉菌が腐敗菌を抑えるバイオプロテクションの4つのメカニズムが組み合わさるためです。冷蔵庫がなかった時代の知恵が、現代でも食品保存・低添加物食品設計に活かされています。
- No.36
発酵と栄養価の変化:ビタミン・アミノ酸・機能性成分はこう変わる
発酵は食品の栄養価を3つの方向で変化させます。(1)ビタミンB群やビタミンKが微生物によって新たに合成される、(2)タンパク質が分解されて遊離アミノ酸・ペプチドが増加する、(3)抗酸化物質・生理活性ペプチド・オリゴ糖などの機能性成分が生成される。米麹発酵では特に、レジスタントプロテイン・GABA・グルコシルセラミドなど多様な機能性成分が増えることが報告されています。
- No.37
米麹と砂糖代替:機能性成分が変える「甘味の意味」
米麹甘味料は単なる砂糖代替ではなく、レジスタントプロテイン・オリゴ糖・GABA・ペプチドなどの機能性成分を含む「機能性甘味料」です。GI値が砂糖より低く、腸内環境への作用も期待され、世界の砂糖代替市場で他のカテゴリ(人工甘味料・ステビア・糖アルコール等)と差別化されたポジションを取っています。
- No.38
米麹を使った発酵食品:味噌・醤油・酒・甘酒の家系図
米麹は、味噌・醤油・清酒・酢・甘酒・米麹甘味料といった日本の主要発酵食品の共通基盤です。同じ米麹から、原料(大豆・米)の組み合わせと発酵プロセス(糖化のみ・アルコール発酵・酢酸発酵)を変えることで、多様な食品が生まれます。すべての発酵食品が「米麹を始点とする家系図」で繋がっていることを理解すると、日本食文化の深層が見えてきます。
- No.39
世界の発酵食品マップ:5大陸の発酵カルチャー比較
世界の発酵食品は気候・原料・宗教・歴史によって独自に発展してきました。乳製品発酵が中心の欧州、野菜乳酸発酵が豊かなアジア、穀物発酵が多様な日本など、地域ごとに特色があります。日本の麹発酵は「カビによる糖化」という、他文化にほぼ存在しない独特の手法で、近年の代替甘味料市場で国際的注目を集めています。
- No.40
発酵食品と免疫機能:腸管免疫の最前線
人の免疫細胞の約70%は腸に集中しており、腸内環境の質が免疫機能を左右します。発酵食品は腸内マイクロバイオームを介して免疫細胞のバランスを整え、過剰反応(アレルギー)と免疫力低下(感染症)の両方に良い影響を与えうると考えられています。米麹由来のレジスタントプロテインやペプチドも、近年の腸管免疫研究で注目される成分の一つです。
- No.41
米麹の酵素群:アミラーゼ・プロテアーゼ・リパーゼの役割
米麹菌(Aspergillus oryzae)は40種類以上の酵素を分泌しますが、特に重要なのはアミラーゼ(デンプン分解)・プロテアーゼ(タンパク質分解)・リパーゼ(脂質分解)の3つです。これらが同時に働くことで、米から甘酒・米麹甘味料・味噌・醤油という多様な発酵食品が生まれます。各酵素の特性を理解することで、より精密な発酵食品設計が可能になります。
- No.42
発酵食品と腸内環境:プロバイオティクスからポストバイオティクスへ
腸内環境に作用する発酵食品の成分は、(1)生きた善玉菌(プロバイオティクス)、(2)善玉菌のエサ(プレバイオティクス)、(3)善玉菌の代謝産物(ポストバイオティクス)の3層に分類できます。米麹甘味料はオリゴ糖(プレバイオティクス)とレジスタントプロテイン(ポストバイオティクス前駆体)を同時に含む稀少な存在で、腸内環境への複合的アプローチが期待されています。
- No.43
米麹甘味料の科学:糖化メカニズムを解剖する
米麹甘味料は、米麹のアミラーゼ(α-アミラーゼ+グルコアミラーゼ)が米デンプンを段階的に分解することで生まれます。55〜60°Cで6〜24時間糖化を続けると、デンプン→デキストリン→マルトース→グルコース、と分解が進み、複数糖の混合物としての自然な甘味と、レジスタントプロテイン等の機能性成分を含む製品が完成します。
- No.44
日本の伝統発酵食品の系譜:味噌・醤油・酒・酢の1300年
日本の発酵食品は、奈良時代以前に大陸から伝わった麹技術を起点に、平安期の朝廷醸造(造酒司)、室町期の種麹屋による産業化、江戸期の地域ブランド確立を経て、1300年以上にわたって独自進化を遂げてきました。味噌・醤油・清酒・酢のすべてが米麹を共通基盤に持ち、現代の米麹甘味料はその系譜上の最新の応用です。
- No.45
米麹の作り方:種麹から完成までの製麹(せいきく)プロセス
米麹は、精米→浸漬→蒸米→種付け→製麹(28〜35°Cで40〜48時間培養)の5段階で作られます。麹菌の生育を最適化するための温度・湿度・酸素管理が要で、職人は「手入れ」と呼ばれる数時間ごとの撹拌を行います。現代では機械化されたプロセスもありますが、伝統的な「蓋麹(ふたこうじ)」「箱麹(はここうじ)」「床麹(とここうじ)」の3つの製麹方式が今も併用されています。
- No.46
Aspergillus oryzae(ニホンコウジカビ)の科学:日本の国菌
Aspergillus oryzae(ニホンコウジカビ)は、日本で1500年以上にわたって選別・継承されてきた特殊な菌株で、カビ毒(アフラトキシン)を産生しない安全性と、多種類の酵素を同時分泌する能力が特徴です。2005年のゲノム解読により遺伝的基盤が解明され、2006年に日本醸造学会から日本の「国菌」として認定されました。米麹甘味料の科学的根拠もこの生物の特性に依存しています。
- No.47
微生物が食を変える仕組み:酵素・代謝・風味の科学
発酵微生物は、(1)酵素を分泌して原料の高分子(デンプン・タンパク質・脂質)を低分子に分解する、(2)自らの代謝で有機酸・アルコール・二酸化炭素を生成する、(3)複雑な香気成分・旨味成分を作る、という3つの仕組みで食品を変化させます。麹菌(Aspergillus oryzae)はこの3機能を同時かつ高水準に発揮する稀有な微生物で、日本の発酵食品の多くを支えています。
- No.48
発酵とは何か?科学・歴史・現代の意義を整理する
発酵とは、微生物が酵素の働きによって有機物を分解・変換し、人にとって有益な物質を生成する現象です。発酵食品は栄養価の向上・保存性の獲得・風味の創出という3つの恩恵をもたらし、人類は1万年以上にわたって意図的に活用してきました。日本では麹菌(Aspergillus oryzae)を用いた独自の発酵文化が発展し、今や代替甘味料や機能性食品の科学的基盤として再評価されています。
- No.49
米麹(こめこうじ)とは?定義・歴史・現代の意義を整理する
米麹とは、蒸した米にニホンコウジカビ(Aspergillus oryzae)を繁殖させて作る発酵スターターで、日本では1500年以上にわたって清酒・味噌・醤油・甘酒の基盤として使われてきました。現代では米麹甘味料・機能性食品の原料として、世界市場へ展開しつつある重要な発酵資産です。