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発酵ノートNo. 042サイエンス

砂糖代替甘味料の分類と科学的特徴:CodexとJECFAに基づく整理

FAO/WHO Codex Alimentarius と JECFA の評価に基づき、砂糖代替甘味料を栄養性・高甘味度・糖アルコール・発酵糖類に分類し、それぞれの科学的特徴を整理します。

Aspergillus oryzaeKoji SweetenerSaccharification 55–60°CResistant Protein
河原 あい||5

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国際基準による分類の枠組み

砂糖代替甘味料を整理する上で、最も信頼できる枠組みは FAO/WHO の Codex Alimentarius(国際食品規格) と、その安全性評価を行う JECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家委員会) が定める分類です。各国の規制(日本の食品安全委員会、米FDA、EUのEFSA)もこの枠組みを基礎としています。

これに沿うと、砂糖代替甘味料は次の4つに整理できます:

カテゴリ共通する性質
栄養性甘味料はちみつ、メープルシロップ、米麹甘味料糖質(カロリー)を含む、自然由来
高甘味度甘味料アスパルテーム、スクラロース、サッカリン、ステビア配糖体微量で甘味、ほぼゼロカロリー
糖アルコールエリスリトール、キシリトール、ソルビトール低カロリー、整腸作用、過剰摂取で緩下作用
発酵由来糖類米麹甘味料、麦芽糖系、もち米水あめ微生物発酵で生成、複数糖の混合

① 栄養性甘味料

砂糖(ショ糖)と同様にカロリーを持つ甘味料群です。FAO の食品成分データベースでは、糖質含有量に応じてカロリーが計算されます。

  • はちみつ:花蜜の植物糖(フルクトース・グルコース)を蜂が酵素処理したもの
  • メープルシロップ:カエデ樹液を煮詰めたショ糖中心の甘味料
  • 米麹甘味料:米デンプンを麹菌酵素で糖化した混合糖

栄養性甘味料は「砂糖の置き換え」というより、「異なる甘味プロファイルと付随成分」を提供する点に意義があります。

② 高甘味度甘味料

砂糖の数十〜数千倍の甘味度を持つ甘味料で、JECFA が**ADI(一日許容摂取量)**を設定しています。

甘味料甘味度(砂糖=1)JECFA ADI
アスパルテーム2000–40 mg/kg体重
スクラロース6000–15 mg/kg体重
サッカリン300–5000–5 mg/kg体重
ステビオール配糖体250–3000–4 mg/kg体重(ステビオール換算)

2023年には IARC(国際がん研究機関)と JECFA がアスパルテームを Group 2B(ヒトに対しておそらく発がん性がある)に分類しつつも、ADI は維持する結論を発表しました。これは「通常摂取量では健康リスクが低い」とする見解です(WHO/IARC共同発表 2023年7月)。

③ 糖アルコール

化学構造上は糖の還元体で、消化されにくく低カロリーが特徴です。

  • エリスリトール:カロリー 0.2 kcal/g(砂糖の 1/20)
  • キシリトール:虫歯予防効果(厚生労働省 特定保健用食品で認可例)
  • ソルビトール、マルチトール:菓子・飲料に広く利用

注意点として、**JECFA は糖アルコールの過剰摂取で緩下作用(下痢)**を起こす可能性を指摘しており、Codex 規格でも一定量以上で「過剰摂取により緩下作用を起こすことがある」旨の表示を推奨しています。

④ 発酵由来糖類(米麹甘味料を含む)

最近注目されている第4のカテゴリです。微生物発酵による穀物デンプンの分解で生成される、自然由来の混合糖です。

米麹甘味料の特徴:

  • 化学合成・植物抽出を伴わない
  • 麹菌 Aspergillus oryzae の酵素によるデンプン糖化
  • マルトース・グルコース・オリゴ糖の混合
  • レジスタントプロテイン等の機能性成分を含む

日本醸造学会の研究蓄積(『醸造協会誌』他)により、米麹発酵プロセスの再現性と安全性は1500年以上の実績で確立されています。

規制上の取り扱いの違い

各国の規制での扱いを比較すると、発酵由来糖類は他の3カテゴリと位置づけが異なります:

カテゴリ日本の規制米国の規制EUの規制
高甘味度甘味料食品添加物(指定添加物)FDA: GRAS or 食品添加物として承認EFSA: E番号で管理
糖アルコール食品添加物(既存添加物)GRASE番号
発酵由来糖類一般食品(食品添加物ではない)一般食品一般食品
栄養性甘味料一般食品一般食品一般食品

つまり米麹甘味料は食品添加物ではなく一般食品として扱われ、特別な指定・申請なしに食品原料として使用できます。これがクリーンラベル文脈での強みでもあります。

米麹甘味料が「機能性甘味料」と呼ばれる理由

JECFA は、甘味料の評価において「カロリー・甘味度・安全性」を中心に評価しますが、近年は機能性成分(食物繊維様成分、ペプチド類)の存在が栄養学的に評価されるケースが増えています。

米麹甘味料については、以下の機能性が研究蓄積中です:

  • レジスタントプロテイン:消化されにくい米由来タンパク質(日本農芸化学会等で研究進行)
  • オリゴ糖類:腸内環境改善の可能性
  • 遊離アミノ酸・ペプチド類:旨味成分と生理活性

これらは Codex の「甘味料」分類を超えて、「機能性食品原料」として位置づけ直されつつあります。

まとめ

砂糖代替甘味料は FAO/WHO Codex と JECFA の枠組みで4カテゴリに整理されます。米麹甘味料は「発酵由来糖類」として、化学合成や食品添加物指定を伴わず、機能性成分を含む特殊な位置を占めています。代替甘味料の選択は、カロリーや甘味度だけでなく、規制上の扱い・機能性・自然由来度合いまで含めた総合判断が重要です。

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Editor-in-Chief / 編集長

編集長 / 株式会社オリゼ CTO

株式会社オリゼ CTO。博士課程では発酵食品中の微生物の研究に従事し、博士(環境共生学)を取得。管理栄養士としての栄養学の知見と、微生物学・発酵科学の研究背景を併せ持つ。オリゼでは米麹・発酵関連の研究開発全般を担当。

参考文献・関連リンク